高校1年の夏休み。
私は一目惚れをしました。
初めて一瞬で恋に落ちる体験をしたのです。
好きになった人というのは、どの人も特別ですよね。
でも、その彼はまた例外というか。。
なぜなら、彼が初めて「一目惚れとはこういうものなんだ」という事を教えてくれた存在だったからです。
まだ私は一目惚れというものを知りませんでした。
もちろん「一目惚れ」という恋の始まり方があるのは知識としては知っていました。
ですが、一目惚れの経験はまだなかったのです。
だから、急に訪れた感情に戸惑いや驚きを覚えましたね。
しかし、戸惑いよりもドキドキ、嬉しさ、ワクワクの方が大きかったです。
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塾の夏期講習での出会い
一目惚れした彼とは、通っていた塾の夏期講習で出会いました。
それぞれの学校ごとに対策してくれる塾だったので、普段は顔を合わすのも、通っている学校の人達ばかり。
しかし夏期講習だけは違っていました。
通っている学校関係なく、ごちゃ混ぜになっていたのです。
まだ高校1年生だった私は、
「友達も行かないって言ってるから私も行かない~」
と、夏期講習には行かないつもりでした。
しかし、親から「行けるときだけでも行ってきなさい」と言われ、数回だけ行くことにしたのです。
今思えば、行くことをすすめてくれた母親にスゴく感謝ですね。
彼と出会うチャンスをくれたのですから!
夏期講習、初日。
普段の授業は始まる5分ぐらい前に教室に入っていました。
「いつもと同じぐらいに行けばいいやー」
と、のんきに考えていた私は、その日も5分ぐらい前に教室に到着。
そしたら…。
教室の後ろ側のドアを開けて見渡した教室。
席がほぼ埋まってしまっていました。
もう座りたくもない前方の席しか空いていなくて、しぶしぶ前の方へ移動。。
「んー、前の方だと当てられやすいだよなぁ」
とウロウロ。
それを見ていたのかな。
近くに座っていた生徒が、自分の座っている席の隣の机をトントンと叩いて「ここ空いてるよ」と言ってくれました。
その声に振り向き、その人を見たとき、ホントに時が止まったような感覚が起こりました。
ザワザワとした周りの音も聞こえなくなり、彼が次に発した「ここ、意外と当てられないんだよ」というセリフ。
もうそのセリフしか私の耳に入ってきませんでした。
私の目は彼の、いたずらっぽく微笑んだ顔に釘付けに。
一瞬、体が固まっていた私は急いでその席に座り、彼に「ありがとう」と振り絞ってやっと言えた一言。
心臓の音がうるさくて、自分の発した声がスゴく小さく聞こえました。
授業が始まってもドキドキはおさまってくれずに。
彼にしか向かない意識
彼が鞄からノートを出したり椅子を座り直したりするたびに、全神経が彼へ向かっていました。
心臓の音が大きくて隣にいる彼に聞こえやしないかとヒヤヒヤするくらい。
いつもなら終わる時間を何度も時計で確認する私。
でも、その日はあっという間に終わってしまったその日の行業。
授業の内容は完全に頭に入らなかったですね。
授業が終わって、彼は友達と話ながら教室を出ていきました。
声をかけるタイミングはあったと思います。
でも、
「友達でもないのに、話しかけづらいなぁ」
「ただでさえ心臓が破裂しちゃうんじゃないかと思うぐらいドキドキしているのに、話しかけるなんて!」
なんて考えて、声をかけることが出来ませんでした。
家に帰ってからもずっと彼の事を考えていました。
今まですれ違った男の子がカッコよくて友達と、
「きゃ~!さっきの人カッコ良かったね~!」とトキメいた事は何度かありました。
でも、いつもならその時だけ騒ぐだけなのです。
その日は夜になっても、次の日になっても、その人の事を思い出してはドキドキして止まらない。
こんなことは今までなかったのです。
「一目惚れだった」ことを確信
頭から彼が離れない。
その時に私は「彼に恋をしたのだ」「これが一目惚れってやつなのね!」と確信しました。
「彼にもう一度会いたい。彼の声を聞きたいな」
と、私は予定を変更して夏期講習に通いました。
「今日は彼に会えるかな?どうかな?」と。
私は塾に行くのが楽しみでした。
恋をすると、なんでもない普段の日常がキラキラしてくるのは何故なんでしょうね。
そして、叶わなかった初めての一目惚れ
しかし、あれ以来、彼には会えなかったのです。
後で「彼はこの塾を辞めて違う塾に行ったらしいよ」と聞きました。
この事を知ったとき、
「あの時に少し勇気を出して話しかけていたら何か変わったのかもしれないな」
と少し後悔しました。
私はあの時、彼の後ろ姿を見送ることしか出来ませんでした。
「同じ塾だからまた会える」と鷹をくくっていたのかもしれません。
会ったのは1日だけの恋でした。
そして、叶わなかった恋。
でも私は一目惚れしたことには後悔はしていないですよ。
彼の事を考えている時間はドキドキして楽しかったですし、あんな体験出来た事はとても良い思い出だからです!
彼に会ったのは結局たった1日。
それなのに今でもあの日の事は鮮明に覚えているのです。
今でも彼のいたずらっぽく笑った顔を思い出す事ができます。
これほどの想いを感じさせてくれた彼に感謝の気持ちまであるんです。
もし、今度同じように一目惚れして、話しかけようか迷った時があったのなら、
勇気を出して話しかけてみようと思いましたね。
「一目惚れするほどの相手に出逢えるチャンスなんてそうそうない!」
だから
「一目惚れをしたのなら、その素敵な出逢いに感謝しよう。勇気を出して頑張ろう」
と思わせてくれた出逢いでした。